福井県小学校長会は、昭和24年の結成以来、長きにわたり本県の小学校教育の充実・発展のため、真摯に研究と実践を積み重ねるとともに教育諸条件の整備・充実に努め、多大な成果をあげてきた。
現代社会は、急速なデジタル化(Society5.0)やグローバル化が進展する一方、人口減少・少子高齢化や家庭・社会における人間関係の希薄化、貧困問題、さらには、激甚化する自然災害や紛争による価値観の揺らぎといった課題に直面している。この変化の激しい不確実性の時代の中で、「持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」の実現が目指されている。
このような中、小学校教育には、正解のない課題に立ち向かい、自立した人間として多様な人々と協働しながら価値の創造に挑み、未来を切り拓いていく力の育成が求められている。本県においても「一人ひとりの個性が輝く、ふくいの未来を担う人づくり」の基本理念のもと、子どもが主役の「夢と希望」「ふくい愛」を育む教育を推し進めていかなければならない。
学校は、持続可能な社会の担い手を育成するために、個別最適な学びと協働的な学びにより「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力や人間性等」の三つの力をバランスよく育む教育を実現し、新たな価値を創造し、社会を生き抜く力を身につけた子どもを育てていかなければならない。そのため校長には、明確なビジョンを掲げ、学校組織の活性化を図り、創意ある教育課程の編成・実施・評価・改善に努めることが求められている。また、ふるさとふくいの風土に根付いた教育文化のよいところを継承しつつ、子どもに知的好奇心をもって学びを深める「探究力」、変化に向き合い多様な他者と協働する「共感力」・「対話力」、課題を解決し新たな価値を生み出す「創造力」を育成し、地域と関わり、より深く学び、自らの可能性に挑戦していく「生きる力」を家庭や地域との連携・協働のもとで推し進めていかなければならない。
さらに、「GIGAスクール構想」の推進、いじめ・不登校への対応、特別支援教育の充実、学校教育への信頼を一層高いものにするための教職員の資質・能力の向上、学びの専門職としての「働きやすさ」と「働きがい」の両立など、対応すべき重要課題が山積している。加えて、近年、激甚化している自然災害や、不祥事、理不尽な要求等へのリスクマネジメントやクライシスマネジメントも求められる。
また、小学校教育の充実・改善を図っていくための、カリキュラム・オーバーロードの視点からの学習指導要領の見直し、少人数学級のより一層の推進や教科担任制の導入による持ち授業時数の縮減、教職員定数の改善や人的措置の充実も喫緊の課題となっている。
校長は、このような状況を深く認識し、教育改革の動向を的確に把握した上で、リーダーシップを発揮し、確かな計画と実行力を持って教育成果をあげていかなければならない。私たちは、組織の総力をあげて課題解決に努めるとともに、積極的に施策提言を進めることで、県民・国民の信頼に応える必要がある。そのために、校長は自らの使命を自覚し、志高く学び続け、権限と責任のもとに、未来社会を創造する力を身につけた日本人の育成を志向して、活力ある学校、信頼に応える学校づくりに努めなければならない。
福井県小学校長会は、令和7年度の活動方針に基づき、人事行財政対策委員会、調査研究委員会、教育研究委員会、編集広報委員会の4つの専門委員会設置し、事業を推進する。